STING LIVE @武道館

ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・スティング&ポリス

ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・スティング&ポリス

  • アーティスト: スティング&ポリス,ポリス,スティング
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2002/08/07
  • メディア: CD
  • クリック: 8回
  • この商品を含むブログ (50件) を見る
Sacred Love

Sacred Love

僕の中での英国三大兄貴であるポール・ウェーラー、モリッシー、そしてスティング。三者三様、それぞれの兄貴道を邁進されておられるが、本日はその中でもインテリジェンスを売りとしておられるスティング御大のライブのため日本精神の拠り所、武道館へと馳せ参じた。


なんと座席はアリーナ最前列ブロックの前から10番目あたり。ステージまでは距離にしてほんの15m程といったところ。たまたま友人の余り券をゲットしてタダで行けることになったにもかかわらずこんなに良い席でいいのかしらと胸がドキドキ。その余り券は友人曰く、音楽関係の仕事をしている知人から今回あのバーニング用に確保されていたものを横流ししてもらったそうで、周りの席を見渡すとキツネかなんかの毛皮のロングコートを羽織ったセレブなパツキンがいたりした。そんな座席でもあるもんだから、近くの席に客が来る度友人と顔を見合わせドキがムネムネ。


そうこうする内に開演時間のPM5:00。どうせ大概のライブと同様に10分くらい遅れるんだろうなとタカをくくっていたにもかかわらず、時間きっかりにSEが止まって照明も落とされた。客席からは年長の客が多いことが伺える、積年の愛情が詰まったマナーある歓声が飛び交う。そして、エスニックムード満載のアダルティーなアッパーソング「Send Your Love」で本日のライブの幕が切って落とされたのであった!


初めて生で見るスティング兄貴はやはり後光が差しておりました。ビシッと決めたスーツ姿でステージに颯爽と現れたそのお姿はフェロモンムンムン。高音域も野太く甘〜い歌声に周りの女子は即倒寸前(だったことであろう)。おまけに1曲目の途中で脱ぎ捨てたスーツのジャケット下にはジャストサイズの色気満点シャツを召されているときたもんだ。


バンド構成は基本的にVo&Baがスティング御大で、Gt・Dr・パーカッション・シンセ・ラップトップ・バックコーラス×2の合計8名。最新アルバムの「Sacred Love」とPolice時代およびソロ転向後の名曲がバランス良く織り交ぜられた曲目構成。「Sacred Love」ではエスニックやクラブミュージック的なアプローチの曲が中心となっていただけあって、VJ効果とミックスさせたステージングはまだまだバリバリ現役ミュージシャンであることを体感できるものであった。といっても、そういった趣向の曲をまとめてたたみ掛けるでもなく、合間合間で“誰もが知ってるあの名曲”を入れてくるところは知的なエンターテナーとして場数を踏んでいる彼だからこそ成し得る技か。


全体を通しての場の盛り上げ方も心得ておられる。中盤あたりの皆がダレてくるあたりでは、バックコーラスの黒人女性と茶目っ気たっぷりのデュエット曲をベース弾きつつステージの横幅をいっぱいまで使ったチークダンスを交えて披露するなど、終始観客を飽きさせない。個人的な話でなんだが、先日行ったTHE MUSICのLIVEと比較すると、何とも大人の余裕というものが溢れたものであり、“これぞ兄貴、これぞジェントルメ〜ン”であった。


そんなこんなでライブも終盤に差し掛かり、どうやらこれでメインステージは最後の曲かなと予感させる「Roxanne」において、兄貴ソロ転向後のサポートギタリストとしてはお馴染みらしいGtの人がやってくれました。曲後半はジャムっぽい演奏が5分以上続いていたのだが、何とも恍惚感に溢れた表情でギターを弾きまくり。おまけに曲間で別のギターに持ち替えつつも持てるテクニックの全部を出し尽くす勢いなんじゃないかというくらいのはっちゃけっぷり。かといって、ギュインギュインのエフェクトかけた主張しまくりプレーとは違い、しっとりアルペジオで優しく音の空間を埋めたりと、まさに“自分、ギターで飯食ってますから”の職人さん。こんなにギターを楽しそうに演奏する人を久々に見ましたよ。


アンコールもお約束通り2回きっちりこなして、最後はメンバー全員でステージ中央に並んでお辞儀のカーテンコール。時間はジャストPM7:00。開演の時といい、完璧な時間配分。何でも聴いた話ではレコーディングの際も、巷のイメージとしてある神経質なロケンローラーのように、煙草の煙が充満するスタジオに夜中じゅう閉じこもって自分を追い詰めながら曲作りに励むような形ではなく、キチンとAM9:00にスタジオINしてPM5:00にはスタジオOUTするという、インテリ・スティング御大らしいライブであった。


終演後、熱気溢れた武道館を出るとツンと張り詰めた冷たい空気が心地よく、更にあろうことかムーディにチラホラと雪まで降っており、僕の頭の中でのバックミュージックは否応無しに「Every Breath You Take」がしっとりと鳴り響いておりました。


あー、得した。