なめんなYo、アイス棒ドクター!

風邪で一時溶けかかっていたかもしれないが、ようやく鋭気を取り戻した模様である僕の小さな脳みそでここ4・5日間を精一杯振り返ってみると、どうしても納得できない出来事がひとつあった。


先週末、唐突に襲われることとなったわりと悪性の風邪。近頃職場でも流行しており、部内メンバー7名中5名がその餌食となっていたことからも、自分も用心しておかないと思っていた矢先、ふとした瞬間悪寒を感じたかと思いきやみるみる内にその悪寒が継続的なものとなり、瞬く間に頭痛・鼻水・咳・発熱と症状が一気に体内で負のサイクルを形成しはじめた。これは週末のハッピーな気分が台無しだと仕事を幾分早めに切り上げて、ここ7・8年足を運んでいなかった内科病院に思い切って行ってみることにした。


地元の駅前には一昨年あたりに開業された「7DAYSクリニック」というなんとも怪しげな病院の看板が、夜の結構遅い時間にも一見コンビニか何かのようなまばゆい電飾を煌々と輝かせていたのを思い出していた僕は、もう午後8時近くになっていたこともあり、そこの自動扉を健康保険証片手にふらふらと押し開いていた。思えばこの時すでに熱などの風邪症状で冷静な判断ができていなかったのかもしれない。


受付で初診手続きを済ませ、待つこと約40分。そんなに混んでるわけでもなさそうなのに、何ゆえ病人をこんなに待たすのかと、病院事情を汲み取れていないがゆえの自分勝手な思いに腹を立て始めるもようやく自分の名前をコールされる。診察室に通されて、かなり嫌な予感がした。若そうな医者であったのだが、いかにも駄目な感じの顔をしているのである。別に風格があるとかインテリちっくであるとかそんなことは一切求めていない。でも、そのおそらく30代前半であろう面持ちからは一切覇気が感じられない。覇気どころかやる気の一片も感じられない。いかんいかん人を見た目で判断しては、と思いとどまろうとするも、どうにもそんな第一印象に打ちひしがれて、こちらの不安感120%増し状態である。

しかし、ここまで来たからにはきちんと診察してもらわないと来た意味が無い。とりあえず風邪の症状を伝えると、彼はおもむろに机の上に置いてあった紙の包みに入ったアイスの棒を取り出し始めた。何をするんだコイツ!? このタイミングでアイスを食おうとしてるのかと!? と熱で朦朧とする頭を更にクラクラさせていると、「じゃあ、ちょっと口開けて下さいね」ときた。なーんだ、喉をチェックするんだな、と一安心してみたがちょっと待て。アイスの棒で口を開けさせるのか!? 普通もっと医療器具っぽい銀製か何かの使うんじゃないの!? 確かに衛生面では使い捨てでアイスの棒を使用した方が良い可能性もあるが、それにしてもアイスの棒はありか!? センタンって包み紙に書いてあったゼ!?


有無を言わさずそのセンタンのアイス棒を口に突っ込まれるも、棒が太すぎてえづきが止まらない涙目の僕。そんな僕をコイツ使えネーな的な蔑んだ目で見る医者。これにはさすがにあったまきた。結局あまりよく確認できなかったのか喉の症状に関するコメントはその医者からは一切無し。何のためのアイス棒だったんだ…。


お次は念のためにということでインフルエンザの検査をさせられる。これも喉から粘液を採取するタイプのものらしく、再度アイス棒とともに綿棒も突っ込まれる。なんとか無事採取され、検査には15分ほど掛かるとのことでいったん待合室に戻される。むかーし子供の頃にやられた風邪の検査ってこんなんだったっけなぁという思いが若干頭をよぎる。しかしこの段階では、僕の風邪症状はピークに達しており思考力はゼロに近かった。


待つこと30分。未だに検査結果が出ないこの状況に、体力的にも早く家に帰って休みたい気持ちが満ち満ちてきていた頃、ようやく僕の名前がコール。結果、インフルエンザの心配はないと医者は断言。なんだかちょっとばかしホッとしたところで診察室を出たところ、ピンク色の張り紙が、さも重要そうな注意書きがたしなめられて壁に貼り付けてあったのが目に入った。

※インフルエンザ検査薬は早期患者の場合には機能しない場合がございますのでご了承ください。

ちょっと待て。俺の風邪の症状は今日発病したばかりだ。だったら今回の検査じゃ確認できない可能性もあるはずじゃないか。発病状況をこちらはきちんと説明していたはずなのに、この検査におけるかなり重要な上述の情報をなぜあの医者は俺に一言教えない!? そんなこと説明するのも面倒なのか!? ありえない。もしこれで誤診だったりしたらどうするつもりだ!? たかがインフルエンザ、されどインフルエンザ。周りへの悪影響を考えれば一言添えるのとそうしないのでは大違いではないのか!? それともこの張り紙はここに来る患者なら確認して当然なんだバカヤローってスタンスなのか!? 


行き場の無い憤りを感じつつも一刻も早く家に帰って横になりたかった僕は、そのような説明要求をするのも面倒だったので、受付窓口で処方箋と診察料を払ってその病院を後にした。てか診察料は2000円。高くないか、これ? 初診だからというのは差し引いても、喉にアイスの棒突っ込まれて、精度の低いインフルエンザ検査しただけだゼ!? よくよく考えたら聴診器とかで一切診察されてなかったし。風邪の症状についても自己申告した以外はこれといって突っ込んだ質問もされなかったし、これが診察といえるのか? もしも風邪じゃなくてもっと厄介な病気だった場合、今回の診察では確実にわかんないはずだ。


そんな鬱屈した気分でその病院の向かいにある薬局にて処方箋を提出し、取り急ぎの風邪薬をもらうもさらにガックシ。ツムラ漢方薬が10袋くらい出てきやがった。こんなん処方されても…。ちょっと体調悪い人向けとして万人に飲ませるような薬じゃねーのか!? 何のための診察だ!? 熱と頭痛が特に辛いって言ったのに、それにより特化して対処された薬とは確実に違う…。頭は怒りを通り越してクラクラするばかりだ。


結局そのツムラ漢方薬では一向に治る気配も無く、昨日の日記にも書いたように市販の栄養剤にてなんとか復活できた。もう2度と病院なんて行かネー…